
犬の正しい散歩方って? 飼い主をリーダーと認識させる散歩法
飼い主より先を歩く犬は自分をボスだと思っている

犬が飼い主を引っ張っているような散歩風景をよく見かけます。ぐいぐいリードを引っ張って歩く姿は頼もしいですが、しかし犬にとって散歩は狩りに出かけるようなもの。先頭を歩くのはボス犬の役目です。つまり、飼い主より先に歩く犬は自分が飼い主より偉いと思い込んでいます。
犬自身がリーダーだと思わせてしまうことは、実は犬のためにもなりません。責任感の強い犬は、ボスの役割を果たさなければならない緊張とストレスで、いっぱいになってしまいます。向こうから犬が来ると「飼い主を守るために飛びかかっていかなくては」と緊張します。これでは散歩が苦行に変わってしまいます。
こんな散歩をするようだったら、すぐにリーダーウォーク(後述)の特訓を始めましょう。リーダーウォークは飼い主がボスだと認識し、飼い主に従って歩く散歩方法です。犬は従属心の強い動物なので、リーダーウォークのほうがずっと安心して散歩を楽しむことができます。
散歩の基本「リーダーウォーク」の教え方
リーダーウォークはしつけの基本です。お行儀良い散歩ができるようになるばかりでなく、飼い主に対する服従心を育てるための最高のトレーニングです。
このしつけをすると、飼い主がリーダーであることをしっかり認識します。自分がボスだと思い込んで、飼い主の言う事をきかない、気に入らないと噛みつくなどの「権勢症候群」の犬の矯正にもぴったりのしつけ方法です。
ポイントさえはずさなければ、比較的簡単にマスターさせることができますし、成犬になってからでも覚えるのでぜひトライしてみてください。
リーダーウォークのしつけ方
基本は「犬が飼い主より前に出ないようにすること」「止まれ・進めなどは飼い主が主導権を持つこと」のふたつ。散歩の主導権を飼い主が握ることにより、犬は飼い主がリーダーだということを自然に認識するようになります。
リーダーウォークの訓練は次のようにします。
犬を飼い主の横に座らせます。原則は犬が左側ですが、右側でもかまいません。位置は犬が半歩下がったあたりがベスト。「おすわり」を覚えていない場合はおしえましょう。→おすわりの教え方 リードは左側なら左手で、右側なら右手で。少したるませるようにして持つ。
犬を見ないで、黙って歩き始めます。犬がある方向へ行こうとしたら、逆の方向に進んでいく。犬が前にでそうになったら、わざと犬にぶつかるようにして左回り(右回り)にターンする。
これを繰り返していくうちに、飼い主の横にぴったりつき、飼い主のスピードに合わせて歩くようになります。
ワンステップストップで従属心を徹底させる
暴れん坊の犬に効くのが「ワンステップストップストップ」
手が付けられないほど暴れん坊の犬などに向くのが、「ワンステップストップストップ」です。これは、いわば「動かないリーダーウォーク」方法です。散歩をするときには、人について歩かなければいけないということを徹底的に覚えさせ、飼い主への従属心を徹底させます。
ワンステップストップの訓練は次のようにします。
犬が好き勝手に動いていたら、徹底的に無視します。すると犬は不安になり、自然に自分から飼い主の横について大人しくなります。この状態になっても、しばらくの間は犬を見ず、無言で待ちます。
犬が横に座ったら少し待ちます。飼い主は犬が左側にいるなら左から、右側にいるなら右から一歩踏み出し、すぐに止まります。飼い主の動きに合わせて、犬も一歩だけ歩いてすぐに止まったらOK。できるようになるまで何回も繰り返します。
一歩が出来たら、次は二歩。さらには三歩、五歩、十歩と少しずつ歩数を増やしていきます。
こうして、人の動きに従うことを覚えさせながら、飼い主の優位性をしっかり教え込むわけです。ワンステップストップはリーダーウォークの訓練と併用すると、さらに効果的です。
参考文献:
『本当に知りたいイヌのココロ』(作者・監修:日本訓練士養成学校共闘 藤井聡 出版社:日本文芸社)
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